TEDxKyoto ボランティア プロフィール:時松 愛:コミュニケーションチーム/TED オープン翻訳プロジェクト

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私達は時松 愛さんをTEDxKyotoの翻訳に迎えられて非常にラッキーでした。ブログ記事、ソーシャルメディア、その他の翻訳を担当してもらいました。彼女の作業(このような記事翻訳のように!)によってテーマ、ストーリー、そしてアイディアを世界中のTEDxの聴衆に向けて発信する助けをしてもらっています。

愛さんは素晴らしいストーリーを持っていて、彼女がどのように苦難を耐え抜いたかという話は私達にインスピレーションを与えてくれます。彼女は慢性疲労症候群で長く闘病した後、2009年にベビランを始めました。慢性疲労症候群は特に日本においては認知度が低く、誤解もされやすい病気です。ご主人の秀男さんの助けと、息子さんの誕生によって彼女はこの難しい病から寛解し、また活動的になりました。好きなように動き回ったり、外出できる自由を私達の多くは当たり前の事として考えてしまいます。愛さんが回復した時に志を抱いたのは当然のことでしょう。

ベビランについては以下のリンクをご覧ください:
https://www.facebook.com/babyrunjapan/?pnref=lhc
http://ameblo.jp/babyrun/

残念ながら、2013年に彼女は再び信じられないような不運に見舞われます。内蔵の炎症から敗血症となったのです。敗血症は「血液の毒化」としても知られています。敗血症についてはこちらのリンクをご覧ください。
https://ja.wikipedia.org/wiki/敗血症

もしくは愛さんと秀男さんがボランティアで制作した敗血症動画の日本語版をご覧ください。この致死率の高い病気の認知度が高まるでしょう。

回復に何ヶ月もかかり寝たきりとなるうち、愛さんはTEDトーク翻訳によって気を確かに持ち、奉仕できることに気づきました。TED オープン翻訳プロジェクトに参加し、それが新たな扉を開く事につながりました。彼女がTED本部公式ブログに寄稿したストーリーで詳細が語られていますので、お読みになってください。最後まで読む価値があります。

http://blog.ted.com/how-translating-ted-talks-helped-me-recover/
https://www.facebook.com/notes/835687176472096

私達がTEDxKyotoに関わっている大きな理由のひとつは素晴らしいストーリーの数々です。それは人々のストーリーなんです。日常生活の中で個々人がチャレンジし、克服することほど私達の心の琴線に触れ、インスピレーションを得られるものはありません。世界のリーダー達やハリウッドスターのドタバタではなく、市井の人々のアップダウンや私達すべてが仕事や、遊び、家庭や友達、趣味などのバランスをどう取っているかについてなのです。

私達が困難な状況にあった人々に出会う時、それは誰にでも関係があることなんです。彼らが脱出口を見つけた時、私達の上にも光が降り注ぐからです。私達は他の人の話を聞き「皆、似ているんだ。自分にもそんな時がある。あの解決法やテクニックを試してみる事ができるかもしれない。良かった、自分は一人置き去りにされた訳じゃないんだ」と言うのです。
愛さんは今年TEDxKyoto2015において最もミステリアスなボランティアだったかもしれません。2013年に行なわれたTEDxKyotoスピーカーオーディションに参加して以来、彼女はパーティシパントとして参加してきました。いまだその後二度も敗血症を発症し(また、そしてまた!)回復の途上にいます。今年はミーティングにもイベント当日にも参加は叶いませんでした。実際に彼女に会った事のあるボランティアは多くはありませんが、彼女はオンラインで常に中枢に関わっていました。

多くのパーティシパントの皆さんやスタッフの方々がお気づきのように、TEDxKyotoは素晴らしい出会いと経験のプラットフォームとなってきました。ここで愛さんをお迎えして意義あるストーリーを彼女自身の言葉で語ってもらいたいと思います。

時松 愛:

「私は2013年のスピーカーオーディションにチャレンジして、ファイナリストに選ばれました。その年のファイナリストは全員落ちて、誰も森田ホールのステージに立つ事はできませんでした。しかし、そのオーディションこそが私の人生を変えたんです。その『失敗』が素晴らしいアドベンチャーにいざなってくれたんです」

「スピーカーオーディションでは特別ゲストとしてあの唯一無二のヨーヨーパフォーマーであり、2013年3月にTEDカンファレンスで登壇されたBlackさんがお越しくださっていました。Blackさんはファイナリスト達だけに向けて特別に温かいコメントをくださいました。『TEDは果てしなく遠いところに思われるかもしれません。でも本当は皆さんが考えているよりずっと近いんです。TEDは皆さんの手の届くところにあるんです』と」

「Blackさんの真摯な励ましには心を打たれましたが、それでもまだ疑いの気持ちを抱いていました。『そうは言っても、あなたは二回も世界チャンピオンになった方でしょう。私はただ慢性疲労症候群から寛解して小さなビジネスを始めたばかりの主婦に過ぎないわ』」

「驚くべき事に、その約一年後には、上で紹介していただいたTED本部ブログ記事に寄稿することになっていました。本部ブログに執筆する日本人は少ないので、本当に名誉なことでしたし、より翻訳ボランティアとして力を入れるようになりました」

「何故、私が翻訳するかですか? 私が翻訳するのは、それによって誰かの人生が救われるかもしれないからです。私が敗血症後の痛みに苦しんでいる時、まだ日本語字幕がつけられていないTED/TEDxトークが多く残っていることに気がついたんです。私達は皆、前に進むためのエネルギーが必要なんです。テクノロジーはより良い治療法への希望へとつながります。エンターテイメントは私達に笑うことを思い出させてくれます。デザインは物事の見方に新しい視点を与えてくれます。TEDやTEDxに登壇されるスピーカーの皆さんはとんでもない状況を克服してきた方がほとんどです。一本のトークが「もう無理、すべてを終わりにしたい」と思っている人に「でも、もう一日だけトライしてみよう」という気持ちにさせてくれるかもしれません。一本のトークがあと一日生き残る活力になるかもしれません。そしてまた別のトークが次のもう一日を生き延びる力になるかもしれないんです」

「翻訳した本数が増えるにつれ、日本国内でTEDxイベントがどんどん増えていても、各イベントのオーガナイザーの多くはトークを多言語で公開する事に熱心でないことに気づくようになりました。第二言語としての英語教授法を専攻していた者として、多くの方が英語のまま楽しめるようになれば良いとは思いますが、それ以上にアイディアは言語を越えると堅く信じているんです。もちろん、私達OTP(オープン翻訳プロジェクト)のメンバーは字幕翻訳のために控えていますが、最も価値あるトークを探し出せるかは翻訳者次第なんです。そのトークのアイディアがいかに素晴らしくとも、翻訳待ちのリストはあまりにも長過ぎて、簡単に見逃されてしまうんです。もしスピーカーが英語を話さないというだけで、各地のTEDxチームが国内にアイディアを留めてしまったままで良いと思うのならば、そのトークは本当に広める価値のあるアイディアなのでしょうか? そこで4月に私が第二回TED OTP/TEDx Workshop in JapanをTEDxKyotoとともに開催した時には、より私達の宝をより広めていけるように翻訳者とオーガナイザー陣をミックスする機会にしました。そのワークショップからTEDxSapporoの翻訳チームを率いた若く才能豊かな石山彩奈さんがTED本部公式ブログに取りあげられた時は嬉しかったですね。TEDxKyotoはこれまでにTED.comに収録されるトークを2本産み出しています。TEDxKyoto 2014での手塚貴晴さんのトークは、今年の会場でTEDトークとして上映されましたね。TEDxKyotoは本当にプラットフォームなんです。

「最後に大切なことをお伝えしたいと思いますが、バンクーバーで行なわれるTEDカンファレンス2016に参加者としてご招待いただいたんです! 誰が私のような、身体が弱い主婦/起業家/二児の母/がメインカンファレンスに参加できると想像できたでしょうか? 確かにいつかは行ってみたいものだと思ってはいましたよ。でもそのためにはあと数十年はかかると思っていたんです。怖じ気づいて、お断りしかけました。だって、他にもっとふさわしい方がたくさんいらっしゃるじゃないですか! なぜ私なんかが? でも思い出したんです。TED/TEDxコミュニティーは多様性を重んじていることを。様々なバックグラウンドを持つ参加者が交流する事で何が飛び出してくるかわかりません。もうお分かりのように、スピーカーオーディションでBlackさんがおっしゃったことは正しかったんです。TEDxKyotoには「ドラえもんのどこでもドア」があるんです。そしてそれはTEDにも通じているんですよ。私の参加を通して、TEDxKyotoの快進撃がメインホールのど真ん中に伝わります。次はあなたかもしれません!ですから皆さん、一緒に京都から世界へアイディアを伝え続けましょうね」

愛さんはTEDxの倫理観を具現化する一人です。人々の結びつきを増やすことによって、私達は変化を起こします。他者に手を差し伸べ、ストーリーを共有するんです。愛さんは彼女のストーリーをさらけ出すことで他の人の力になることができると信じる一人です。そして私達は彼女が既にそれを達成してきていることを知っています。バンクーバーで行なわれるTEDメインカンファレンスは彼女を迎えることができて非常に幸運です。彼女の2016年が大きく飛躍の年となるように私達がフルサポートしています。彼らの心を鷲掴みにしてきてください、愛さん!

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