林宗一郎
能楽師
林宗一郎は1625年より十三代続く京都の伝統的な家に生まれた能楽師である。3歳で初舞台に立ち、それ以来京都を中心に、東京や岡山など各地で公演活動を行っている。また、より多くの人々に能の素晴らしさを伝えるべく、初心者向けの入門レッスンや講演など、シンプルだが奥深い能の様々な側面を解き明かす試みを精力的に続けている。
今から600年以上前に誕生した「能」の抽象的な身体、高い芸術性はよく知られているが、林もまた、その芸に磨きをかける一人である。ひとたび舞台に立てば会場全体は静まりかえり、その緊迫感とともに、舞台上で繰り広げられる豊かなドラマによって、舞台と客席が一体になる。まるで魔法にかかったような魅力的な時空間を作り出すのである。どんな些細な動きや静止、所作、音も綿密につくり込まれており、人々の心を掴んで離さない。林のパフォーマンスによって、まさに他に類を見ない日本の伝統的な芸術を目の当たりにするだろう。
» TEDxTalks | Noh – majestic glimpse into Japan’s cultural heart
ダニエル アプスタイン
アンリーズナブル起業家
「アンリーズナブル(理にかなわない)」という言葉は、多くの人にとって「非論理的」と同意語であり、もしかすると「手に入らない」と同じと考える者もいるかもしれない。しかし、ダニエル・アプスタインにとってはそうではない。ダニエルは10歳という若さから起業を始め、起業家精神を駆使しながら身の周りの数々の問題を解決してきた。大学ではその腕に磨きをかけ、哲学科1年生にして更に3社を起業した。今日最も困難な社会的そして環境的問題を解決する鍵が起業家精神にあると信じる彼は、当時のアプローチ方法を持って今も挑戦を続けている。「アンリーズナブル・インスティチュート」の設立者、そして「アンリーズナブル・グループ」の最高経営責任者として、力を合わせてプラスの変革を創り出すというゴールを掲げ、今までにない様々な形で多数の起業家を集めている。より良い世の中を作るために本当に「理にかなわない」のは一体何なのか、その問いに対する私達の答えを一から構築し直すきっかけを彼は与えてくれた。
» TEDxTalks | Harnessing the Power of Entrepreneurship for Global Change
アイリーン美緒子スミス
市民運動家
1954年にロシアのオブニンスクで、世界初の原子力発電所が始動された。この時に人間と原子力との愛憎関係の歴史は始まり、豊富なエネルギー供給の約束は大きな代償を伴った。ペンシルベニアのスリーマイル島、チェルノブイリ、そして一番最近では福島第一発電所。これらの現場は、多数の原子力事故や惨事のわずか一部に過ぎない。アイリーン・美緒子・スミスは過去30年間、原子力の危険性を人々に伝える運動を引っ張ってきた。彼女の専門性、知識、行動力と情熱によって、彼女は反原発の活動家としての尊敬を世界中で勝ち取ってきた。また、グリーンピース・インターナショナルと、グリーンピース・ジャパンの役員を過去に何度も務め、国内市民団体「グリーン・アクション」の設立にも至った。
原発のない日本と世界の夢を人々と共有するために、スミスは一般の市民と共に闘い、草の根運動を促している。たった一人だけの声では、権力者に届かないかもしれないが、大勢の声が集まれば無視できない影響力を持つことをスミスは今まさに証明してくれている。
» TEDxTalks | A Call to Action towards Nuclear Safety – Everyone has a Voice
堀潤
ジャーナリスト
一体誰を信用したらいいのかー今、現代人は自問自答している。自らの政治的指導者か。それとも企業の社長達か。はたまたニュース記者達か。このいずれの回答も頑なに否定する傾向が、特に3.11を経てからは、日本人のみでなく世界中の人々の間で強まってきている。NHKでニュースキャスター、ニュースリポーターとして数々の取材特賞を受賞し、UCLAで客員研究員としてインターネットメディアを研究した堀潤は、人々の間でなぜこのように報道への不信感が高まってきているのかをよく知っている。信頼感を築くのに必要不可欠な透明性と真実を共有しようという精神が、偏狭な報道の世界で損なわれてしまったのだと彼は言う。堀は、自らが先頭に立って報道改革を始動させるために、8ビットニュースのプロジェクトを立ち上げた。このプロジェクトは、プロの記者やメディア専門家と一般の人々を融合させることで、閉鎖された報道の世界を、創造的でかつ人々が互いに情報を共有していく手法のものへと変えていく試みである。 規制された情報への扉を開き、情報と力を手に入れた国民を育てるという堀のゴールは、困難ではあるが人々を奮起させるようなエネルギーを持つ。
パトリック リネハン
外交官
互いに同じであることを重んじる傾向にある今日の世界で、パトリック・リネハンは多様性をたたえる。彼の理念を形作る背景の一つとして、外交官としての多岐にわたる経験がある。米国外交局職員として世界各国を周り、在札幌米国総領事館と在東京米国大使館での職務を経て、2011年からは駐大阪・神戸アメリカ総領事を務めている。多様性をたたえる社会を築くことを目標に、個人としてまた職務として献身を続けるのには、彼の私生活での経験も関係がある。ゲイであることを公表し、パートナーとは結婚も実らせた自身の経験と立場を活かし、人々を啓発し、奮起させている。多様性を喜んで受け入れる世界、全ての人を敬う世界、老若男女に関わらず数多くの人を苦しめるいじめや攻撃的な演説や同性愛嫌悪を拒絶する世界を創ろうと努力する人々を後押ししている。リネハンが目指すのは全ての人を受け入れられる世界である。そして彼の力強いメッセージは、私たち一人一人があらゆる形で違っているという素晴らしい真実を賛美している。
加藤ゆみ
美術教育者
教育者の間では長く知られているように、大きな効果、いや最大の効果を上げうる可能性を秘めた教育、それが遊びを通じた学びである。NPOこどもアートの理事長である加藤ゆみのゴールは、アートを通じて、子供たちが自由に遊び、学べる機会をつくり、親を含む大人たちが子供心や好奇心を思い出すきっかけを与えること。こどもアートのコンセプトは「遊び」と「学び」を組み合わせた造語の「あそなび」。イタリアのレッジョ・エミリアの教育法をはじめ、教育・アートの両面からの様々なアプローチや教育法を融合してできた加藤の「あそなび」に触発されて、アートに遊びそして、自然と国際コミュニケーションの探求という三要素の融和に取り組むフェスティバルやプロジェクトが数多く誕生してきた。子供も大人も同様に、遊び心や創造性を忘れてしまいがちな今日のめまぐるしい世界の中で、加藤はパワフルでワクワクさせてくれる解決法を提供している。
近藤誠一
文化大使
近藤誠一は、日本の伝統文化が認知され真の理解が世界へ広まるように情熱を燃やし続けてきた。したがって、今年、日本が愛する富士山が「富士山-信仰の対象と芸術の源泉」としてユネスコ世界文化遺産に登録されたことを祝うのには、十分な理由が近藤にはある。長い間、日本で崇拝され崇められてきた富士山は日本文化と芸術のシンボルとして世界中に広く認められている。
世界から見た日本文化に関する著作を多数持ち、またUNESCO大使、駐デンマーク大使、文化庁長官を歴任した近藤は、日本というあり方を世界へ広めたいと願っている。それは,日本の芸術,文化,歴史、人々に深く根ざした合理主義と自然とのバランスを、彼の日本への深い愛情に支えられた外交経験を活かして広めることだ。
西倉めぐみ
ドキュメンタリーフィルムメーカー
世界が近づき、世界中の人々の距離も縮まっていくにつれ、「多様性」「多文化主義」や「アイデンティティー」といった言葉はありふれたものとなってきた。しかし、これらの抽象的な言葉を超えて、自身のアイデンティティーを知り、日常世界のパズルに自分というピースがどうはまり込むのか答えを出すのには、名前や定義を定めるだけでは事足りない。西倉めぐみは、ドキュメンタリー映画監督で「ハーフプロジェクト」の一員である。一人の人間が自身のアイデンティティーを見つけることの難しさを、彼女は身を持って知っている。アメリカに11年間暮らした後、2006年に日本に帰国。その時、とっくに乗り越えていたと思っていたアイデンティティーの悩みに、彼女は再び直面した。そして、ハーフプロジェクトの設立者チームを初めとして、彼女同様、日本と他国籍の「ハーフ」である人達と出会った。ハーフプロジェクトでは、西倉は映画とビデオ映像を使って、日本で多民族や多文化を抱えるハーフであることの意味を探る。西倉にとって、個人的な探求となるはずであったものが、「自分はいったい誰なのだろう?」と悩む何百人もの人の心を震わせる「アイデンティティー」の探求の旅へと発展した。
仲暁子
ビジネスイノベーター
仲暁子は、仕事上のことも個人的なことも、3つのシンプルな考えを信条に決めている。1つ目は「行動が未来を築く」。2つ目は「豊かな人生は大好きなことを行うことで膨らんでいく」。3つ目は「新しい機会や挑戦を探すのを止めない」。この信念をもとに、仲は個々のレコメンドで企業と個人を繋ぐ、国内最大のソーシャル・リクルーティング・ツール「Wantedly」を作り出した。高校時代から既に、仲は人々を繋ぐ才能を発揮し、外国人向けのコミュニティサイトを創った。大学に進むと、学生同士がシラバスやキャンパス情報を共有するための雑誌を発行した。彼女は、必要なコトが必要な人へ届くようにと心の底から望み、ソーシャルメディアをより良いツールとして築き上げてきた。実りのある未来を築くには、人々が競うことではなく繋がることが必要だということを、彼女は身を持って示している。
ブライアン ウィリアムズ
パラボリックアーティスト
ブライアン・ウィリアムズが誰か知りたいのなら、「ルネッサンス・マン」を辞書で調べてみるといい。当初は海洋生物学者を志していながらも、ひょんなことからウィリアムズは高校で美術を専攻した。科学への興味は絶えることはなかったが、授業を受け始めて数カ月後、自分は画家になるのだと確信したという。ペルーのリマに生まれ、アンデス山脈で育った。4年間チリに住んだ後、16歳でカルフォルニアに、そして22歳で京都へ移住している。理性と直感の中間を求めて発明した「曲面絵画」は、彼の画風を代表する。今でも、平面のキャンバスに立体的で現実的な世界を繰り広げる彼の挑戦は続く。世界中の風景を追い求め、イースター島、ネパール、キリマンジャロの山頂、モンゴルでキャンバスに向かい、そして最近ではヤップ島のサンゴ礁でスキューバダイビングしながら絵を描いた。目に見えない深みが人生には常にあるという彼の芸術が持つメッセージを具現化したのがウィリアムズという人間だ。
ジヘ パク
バイオリニスト
バイオリン、多くのバイオリニストにとってこれは単なる道具に過ぎない。しかしジヘ・パクの手中におさまれば 、バイオリンは彼女の一部となり、全ての感情を映し出す鏡へと姿を変える。その演奏はまるで奏者と楽器が交わすルネサンスダンス。2003年からはドイツ音楽生活財団より借り受けたヴェネツィアバイオリン、名器1735年製ペトルス・ガルネリウスを手に、世界各地の著名な会場にて、躍動的かつエモーショナルな演奏を披露、数多のリスナーをとりこにしてきた。公演経験のある会場はカーネギー・ホール、ケネディ・センター、ドイツのロココ・シアター、2013年TED Conferenceのメインステージ、上海フィルハーモニー管弦楽団と協奏し、ゴールデンディスク賞受賞ソロCD「Baroque for Rock」の楽曲を独奏した上海コンサート・ホールと枚挙に暇がない。またパクの活躍の場は世界的知名度を誇る場所にとどまらず、病院、教会や刑務所でも音楽への情熱を伝えてきた。ヴィルトゥオーソ、パクの演奏、そして動きに耳を傾けるとき真に幸福を感じるべきは、彼女の音楽に心奪われる貴重な機会に恵まれた私たち、リスナーなのである。
» TEDxTalks | “Between Artist and Instrument” Resonant Passion
ギア
テクノストーリーテラー
映画館で、幕が下ろされた暗いステージに向かって座っている時、幕が上がった瞬間に何が起こるかはたいてい予想できる。次に現れるのは、俳優だったり、ダンサーだったり、シンガーやミュージシャンかもしれない。小道具やライトなんかも考えられる。要するに、私たちが過去に見たり聞いたりしたものを予期するのだ。しかし、Gearのパフォーマーは違う。私たちの想像を絶するサプライズをやってのける。Gearとは、様々な分野のスペシャリストから成るパフォーマンス集団である。パントマイムやジャグリング、マジックやブレイクダンスなど各分野の世界クラスのパフォーマーが集まる。彼らの表情、ダンス、音楽、リズムと最新のテクノロジー技術「プロジェクションマッピング」の融合により、これまでにない息を飲むようなパフォーマンスが創り出される。今回Gearは、日本の伝統芸術、音楽、舞踊の中心として知られる京都で、日本が誇る従来の伝統とともに、新たなパフォーマンスの未来もあることを証明すべくやってきた。
アレックス カー
日本研究家
日本を訪れる人々だけでなく、日本に住む人々にとっても、現代の都市のがらくたを目にすることは容易く、精巧に作られた木造建築や眺めの良い田園地帯、そして昔ながらの感性は失われつつあると想像することができる。現代科学がそうしたものを拒み、壊すように感じられるだろう。日本で最も深刻な影響を受けているのは地方である。地方の人口は急速に減少し、古くからある自然環境は危機に瀕している。ところが、アレックス・カーは一風変わった技術、復元技術を巧みに使う。アメリカに生まれながらも、彼は人生の大半を日本とタイで過ごしてきた。東アジアの伝統文化の専門家であり、受賞歴のある著書は高く評価されている。古き日本の美の新たな道を見据えるアレックスは、古い家屋や町の復元に重点的に取り組み、地方を再生させる手段として「持続可能な観光」を促進する。一度の復元で、“コンクリートの海”を顧みることや、彼の愛する本当の日本をのぞき込むことを教えているのだ。
» TEDxTalks | New life for old towns through sustainable tourism
小林りん
国際教育者
現在、多くの若者の思考は、似かよった背景を持つ同級生に囲まれた閉鎖的な教育システムの中で育てられてしまっている。そのような中、小林りんは「インターナショナルスクール・オブ・アジア軽井沢」という新たな取り組みを提唱している。そこでは、世界の人々と議論したり交流したりすることを推し進めると共に、多様性と個々の子供達の才能と関心に価値を見出す国際的なアプローチを通して、生徒が自分自身で活躍できるように育つことを目的としている。
小林が経験してきた教育そのものが多様な国際的教育に価値があることを証明しているのだ。小林はカナダの寄宿学校へ入学する為に10代でありながら東京の名門高校を中退した。そして後に彼女はスタンフォード大学へと進む。ストリート・チルドレンに教育を施すUNICEFの画期的プロジェクトに、彼女の国際学校教育における専門知識が活かされている。
相互の繋がりが加速していく世界で、未来のリーダーは、世界規模のコミュニティを真に活かしていくために、慣れ親しんだものに留まらずその先を見ることが必要となってゆくと、小林は見通している。
井口尊仁
モバイルデバイスデベロッパー
最新の携帯アイテムが小さくなるにつれて、ますますそれらは生活の一部となっていく。まるで服や皮膚の一部になっていくかのようだ。そんなウェアラブル・コンピューター技術の先駆者、井口尊仁は、日本の Google Glass とも評される彼の最新プロジェクト「Telepathy One」で身にまとうコンピューター技術を世に送り出している。この最新イノベーションは、井口がコンピュータープログラミングへの情熱と大学で学んだ哲学を結び付けて作り出した人気iPhoneアプリ「セカイカメラ」に端を発する。人々の生活をより有意義なものへと変えるような高品位なソフトウェアを創作しようとする井口の情熱は、我々に、技術とは我々の暮らしをコントロールするものではなく、向上させるものだと訴えかけている。
トム チー
ラピッドプロトタイピング グル
問題解決は人類普遍の課題である。小さく日常的な問題から技術的難題、個人間の意見の不一致から環境的脅威と、問題解決の根拠と方法は長い間人類の大きな悩みの種となってきたが、それは革新を大きく鼓舞するものでもあった。トム・チーは、天体物理学の研究、コンピュータのハードウェアやソフトウェアの開発といった科学技術の見地から、問題解決のビジネスに長く携わっていた。その中で、チーは問題解決から革新へ至る道は、不必要な努力を要しているのではないかと気がついた。そしで彼は「ラピッドプロトタイピング」と呼ばれるという独自の手法のパイオニアとなったのだ。その手法により、開発者だけでなく私たち皆が、新しいアイディアを素早く展開、共有したり、私たちが成長し成功するためにそれらのアイディアを広めたりすることができる。解決策よりも早く問題が表面化しがちな世界に、「ラピッドプロトタイピング」の時代がやってきた。
» TEDxTalks | Fast Solutions for A Brighter Future – Rapid Prototyping Entrepreneurship
川尾朋子
書家
書家川尾朋子が作品を創り出す時、その芸術は、まさに筆と墨によって記憶される舞踏の一部となる。川尾は6歳で書を学び始め、2004年から祥洲氏に師事。個展や実演、大規模なイベントのロゴ、障害者の為のワークショップなどを精力的に行い、数多くの賞や評価を受けている。また、彼女の作品は、阪急電鉄「嵐山」駅のロゴを始め、CDジャケットや店舗、デパートのウィンドウディスプレイに使用されるなど、様々な企業やジャンルとのコラボレーションの一環としても取り上げられている。
彼女の最高傑作ー“呼応”シリーズーは、点と点との間における筆の動きに着目した、「目に見えないものを想像する」というテーマを伝えている。日常の修業としている古典を根底にインスピレーションを受けた、このシリーズ作品は、NHK大河ドラマ「八重の桜」のオープニング動画として使用された事も記憶に新しい。川尾が掲げるテーマ“呼応”は、彼女の全ての実演やワークショップの礎を担っている。そして、それらを構築するものは筆と墨と紙。この非常にシンプルなものが、彼女の手によって圧倒的「美」へと変貌を遂げ、我々に語りかけてくるのである。
瀬尾拡史
3D デザイナー
偶然目にしたテレビの科学番組。ヒトDNAを取り上げるこの番組を前に14歳にして、瀬尾拡史は人体の働きとその複雑さに魅了され、鮮やかにヒトDNAを映し出すコンピュータ・グラフィックスにも引き込まれた。東京大学医学部卒。サイエンス・コンピュータ・グラフィックスの専門家として一つの確固たる信念を胸に、この二つの情熱の融合を続ける。その信念とは、学生や一般の人に科学をより明瞭に説明するためのツールとして3Dコンピューターイメージングを利用すること。非常に複雑なアイディアでさえも明確に説明できる映画やテレビ番組上でのコンピュータ・グラフィックスの効果的な利用方法に気づき、科学教育の充足、そして病気の複雑さについて病気を患う子供たちと両親に情報を与え、そして安心してもらえるところまでの利用領域の拡大を目指す。夢は、科学と人体を理解する新たな方法、つまり我々自身を捉え直す新たな手段としての3DCGを日本から世界へ発信すること。
ジョン ギャスライト
ツリークライミング植物学者
高い木を見上げた時、ほとんどの人がそこに見るのは美しい生命か、涼しい日陰か、ひょっとするとそれが障害物に見える人もいるかもしれない。ジョン・ギャスライトの場合、一本の木を見上げた時、そこに希望、自由、そして勇気を見る。ある時、巨大なセコイヤの木を登りたいという夢を持つ下半身不随の57歳の女性を助ける挑戦をした。一回限りのはずであったそのプロジェクトがきっかけとなり、ツリークライミングや自然の中での活動を通して人間と自然を再融合させるというギャスライトの人生をかけた探求が始まった。彼の情熱はNPO法人「ツリークライミングジャパン」の設立という形で結実した。また、身体的、精神的、あるいは社会的に障害を持つ子供たちに木登りを教えることで、地上での障害物から彼らを解き放つ「ツリーハブ」の活動を広く伝えることにも繋がった。今日まで、能力も背景も違う20万人もの人に木の登り方を伝授してきた。参加者は、木々や自然に対する新しい感情を発見し、それだけでなく自分自身の内にある今まで知らなかった次元での感情にも初めて気付く。ギャスライトは、活動を通してこのように各個人が希望と自信を見つける手助けもしてきたのだ。
オリジナルテンポ
マルチメディアパフォーマー
楽しいという感覚を突き詰めていくと、「遊び心」というのは想像力の導くまま進むということである。また「遊び心」には、想像性、喜びそしてコミュニティというオリジナルテンポの革新的パフォーマンスの核である要素も含まれている。このオリジナルテンポの創設者であり、演出監督を担当するのはウォーリー木下である。ウォーリー木下は、内から湧上がる創造性、非言語表現そして遊び心にインスパイアされたパフォーマンス経験を創りあげてきた。観客を巻き込んだり、魔法のような技術演出、お決まりのものからアレっと思う多種多様な小道具を駆使して、メンバー一丸となってめまぐるしく音楽を奏で、ステージ中を駆け回る、これがオリジナルテンポである。想像と遊び心を土台に創造性豊かなパフォーマンスを披露するウォーリー木下とオリジナルテンポの願いは、パフォーマンスや日常生活の中での遊び、そして想像することを楽しんでもらえるようインスピレーションを与えることである。