TEDxKyoto 2014 Speakers / Performers

Suzue

涼恵

Singer/Songwriter
神楽の音楽と舞は、日本において神道信仰と長い間密接につながってきた。神道の神職でもある涼恵は、古来の伝統を継承しながら、自然と命の賛歌を独自の歌と躍動する声に載せて21世紀の人々に届けている。

彼女は日本の文化・習慣を広める神主として活動すると共に、唄い手としてニューヨークのカーネギーホールを始め、ブラジル、ロシア、その他、多くの国の人々に深い感銘を与えてきた。自然の語らいに耳を澄まして言霊を唄うと評される彼女は、自身の音楽を通して人々の間に横たわる垣根を取り払い、溢れる命への賛歌を歌い上げることで、世界の人々に普遍的な感謝の気持ちと愛を伝えたいと願っている。


Garr Reynolds

ガー・レイノルズ

Communications Expert
日常生活がますます複雑化している今日、「シンプルなのは良いことだ」ということに人々が気付き始めている。ガー・レイノルズにとって、シンプルな明快さを追求する「禅」の感性こそが、コミュニケーション能力を磨き、生活をより良くする指導の基本になっている。関西外大でマネジメントとデザインを教える傍ら、作家、デザイナー、そして世界的に著名なコミュニケーションのコンサルタントとしても活躍中のレイノルズが、シンプルなものの中から美とパワーを生みだす技を伝授する。


Sahel Rosa

サヘル・ローズ

Actress/Advocate
イラン出身のサヘルは、現在養母と一緒に日本に住んでいる。日本で、女優として数々の映画や舞台に出演する傍ら、ラジオやテレビ番組では、司会やコメンテーターとして活躍している。将来の夢は、女優として大きな賞を取ること。

その一方で、幼少時代、児童養護施設で育った経験から、現在「ヒューマン・ライツ・ウオッチ」の親善大使として、子供の人権擁護と施設の子供たちが夢を持てる環境作りの大切さを訴えている。

また、他の諸外国と比べて少ない日本での養子縁組みに関しても、より多くの人に関心を持ってもらいたいと願っている。「全ての子供に家族を」、そして「全ての子供が夢を持てるような社会を」、その実現に向けて、将来「サヘルの家」という児童養護施設を建てる事を目標に掲げ、様々な活動を積極的に取り組んでいる。


Shuichi Inoue

井上修一

Sushi Maestro
地球上に生きる生物の中で、人間は地球上に生息する大抵の生物とは違う生き物である。人間は生きるために空気や水、そして食べ物が必要である。しかしながら食については、生きるために基本的に必要なものではあるが、単なる栄養素やカロリーの摂取の域を超えて、人々は食を口にし、食を創ってきている。食は人と食を文化的に繋ぎ、個々を結なぎ、そして、食の世界に相応しい人間の手の中にかかるとそれは芸術とさえなる。

鮨でいうなれば、井上修一は鮨職人でありながらアーティストであり、米、海苔そして魚で創りあげる繊細なコンビネーションが彼の作品である。彼の創りだす鮨のひとつひとつ、それぞれのアレンジメントは日本文化を代表する生け花、盆栽、墨絵と数多くの美学を兼ね備えた芸術作品であり、彼の創りだす鮨は、食せる芸術作品となり、人間の食欲を満たすだけにとどまらず魂を充たす。


Jesper Koll

イェスパー・コール

Economist/Japan Optimist
経済学者イェスパー・コールが自身を「日本オプティミスト」と呼ぶのは、理由のないことではないだろう。新聞、ウェブサイト、社説、カフェでの会話等などで、日本の将来について悲観的な見通しがよく語られているが、イェスパー・コールは、そんな人たちとは一線を画す。イェスパーは優雅さとユーモアをもって膨大なデータを分析し、日本の将来の明るさを主張する。28年間の日本生活がイェスパーを、日本、そして世界の我々を囲む数字に隠されたパターンを見つける探偵にしたのだ。彼はワールドクラスの企業だけでなく、日本政府への助言にもその洞察力と情熱を注いでいる。イェスパー・コールは、数字の一般的な解釈ではなく、数字に潜んだ奥深い真実を見極めるよう呼びかける。数字が本当に意味するものを知ると、これからの将来をもっと楽観視することができるはずである。


Yohei Uchino

内野洋平

BMX World Champion
「ウッチー」の愛称で親しまれる内野洋平選手は、日本人で最も世界で名の知れたBMXフラットランドライダー。
ほとんどの人にとって通常、バイク(自転車)は移動か運動の手段にすぎないが、2012 / 2013年BMX FLATLAND世界チャンピオンであるウッチーにとって、それは世界への扉だ。

ウッチーは競技者として数々の世界タイトルを獲得しているにも関わらず、自ら世界大会をもオーガナイズし、BMX FLATLAMDの魅力を世界に伝える活動も精力的に行っている。また、自身の阪神・淡路大震災の経験から、2011年3月に日本を襲った東日本大震災で避難を余儀なくされた子供達に対して、BMXを活かして献身的な支援も行なった。

ウッチーによって操られるバイク(自転車)から繰り出される技の数々は、観る者の理解の幅を超え、魅了し、BMXが持つ無限の可能性を感じさせずにはいられない。


Toru Arakawa

荒川徹

Black Dye Master
黒とはどんな色だろうか。シンプルで、力強く、古風でかつモダン。荒川徹の家は、大正4年から代々伝統的な、環境に優しい染色技法を受け継ぎ、「黒を極める」ことにこだわり続けてきた。荒川の会社-株式会社京都紋付が主に扱うのは、日本伝統着物文化の中でも最も格式の高い正装である黒紋付き。

この力強く代々受け継がれてきた伝統文化を背景に、荒川は世界自然保護基金(WWF)と協力し、「パンダブラック」プロジェクトを立ち上げた。画期的な染色技術を巧みに使い、古着を甦らせる。100年前、一つの色の創造と共に始まった旅は、今、地球環境保全を目指す。


Kya Kim

Kya Kim

Peace Activist/Artist
社会は様々なシンボルで溢れかえっている。それらはどちらかと言うと,有害なもののほうが多い。関係性を作り上げ,信頼と平和に繋がるような意味のあるシンボルには,深い洞察と反省が込められていなければならない。ジャーナリストであり活動家であるKya Kim が進めるピースマスクプロジェクトは,この「より深い表象」を具現化する。Kyaとピースマスクプロジェクトチームは,手で作られた紙製の精緻なフェイスマスクアートと異文化間の対話を通して,シンボリズムに革新のパワーを与える。このコミュニティベースの活動は,国境を越えた人々のこころの融合と理解を目指している。

今年12年目を迎えるこのプロジェクトは,日本,中国,韓国の若者999人のピースマスクを作る取り組みを始めている.この危機的時代において,三つの国の共通の文化,奥底に潜むルーツを表現するためである。この1年にわたる取り組みは,未来の平和のための才能にあふれた特別な若者たちを育てることも目的にしている.東アジアピースマスク最終発表会は三カ国の首都で開催される予定で,若者たちの価値,独特さ,素晴らしい人格,東アジアそして世界の平和で健康的な未来への希望を表現するだろう。


Matsuyama Daiko

松山大耕

Buddhist Priest
世界では、さまざまな信念や宗教がますます細分化し分断されて、万華鏡と化している。我々の生きている間に、平和は訪れないのではとつい考えてしまう。だが、本当に世界は我々が思うほどに分裂しているのだろうか。京都の大本山妙心寺にある退蔵院の松山大耕作副住職は、相反する世界を一つにする強力な方法として、異教徒間の直接の対話が有効であると考える。また、自分自身の宗教や信念に対してだけではなく、他宗教に対する寛容性の大切さを唱える。

彼は、「世間から一線を画し、瞑想する」という僧侶の典型的なイメージとは程遠く、精力的に日本の禅宗の教えを世界に伝える。2008年のG8サミットシェルパ会議の主催を皮切りに、政府観光庁「Visit Japan大使」および「京都観光おもてなし大使」に任命され、禅宗を代表してのヴァチカン訪問やルクセンブルクでの諸宗教間駅伝に参加した。また、今年冬には、京都で宗教者交流駅伝を主催しただけでなく、世界経済フォーラム(ダボス会議)にも出席し、宗教の垣根を越えた交流と活動を行なっている。

松山副住職は、日本と海外に向けて、平和構築へ向けての対話の重要性を唱える。


Shuji Nakagawa

中川周士

Master Bucket Craftsman
過去にタイムスリップしたいと思ったことはあるだろうか。古い建物を見上げながら、あるいは、年月を経た陶器を見つめながら、タイムスリップして目の前にある“美”を創った人物に会ってみたいと思ったことはあるだろうか。

タイムトラベルが、ここ京都では可能だ。700年前から脈々と引き継がれた伝統的な日本の桶作りの技がある。桶職人中川周士の家では、その技法が父から子へ三代にわたり伝えられてきた。中川の手が板を削る時、700年前の桶職人の指がそうだったように、彼の指も杉板の削りかすにまみれている。

木桶の伝統的な美しさに現代感覚を吹き込み、時代を越えたモダンな木桶や椅子、カップなどを創り出す。
ひとつひとつの作業を通して生み出される中川の作品によって、我々は過去を尊び、現在と未来を享受するのである。


Everett Kennedy Brown

エベレット・ケネデイ・ブラウン

Photographer
我々人間のなかには過去を慈しみ、歴史ものを読みとき、偉大なる時代の尊い遺産を収集する人がいる。また一方で、目を見張る技術に溢れる未来を、一直線に見据えて今を走り抜ける人たちもいる。その中で写真家のエベレット・ケネデイ・ブラウンは、過去と未来を繋ぐ時代を超えた場所としての現在をじっくりと見つめる。彼が用いる洗練された写真術、手段、視点、これらは全てさまざまな姿の日本を撮影・描写する彼の作品に想像を超える見事な効果をもたらす。


Cesar Harada

シーザー原田

Inventor/Environmentalist
人類は地球上の至るところに足跡を残してきた。今日、人類の足跡が無い場所は、地球上にほとんどない。その中で、人間活動の影響をもっとも強く受けているのは海洋であろう。地球上でもっとも広く、最も多様な生態系を育んでいる海洋に、人類は石油を垂れ流し、プラスチックやその他のゴミをまき散らし、放射能を放出し、絶え間なく汚染してきたのだ。そう考えると絶望的になるが、シーザーの視線は未来に向かっている。

彼のインスピレーションは、自身の幅広い経験と数々の経歴から来るものである。彼は、プロテイ社のCEO、Unreasonable at SeaおよびTED Fellowsのメンバー、MITのプロジェクトリーダーを経験し、海を掃除する巡航ロボット、プロテイ(Protei)を開発した。このロボットは多目的に利用でき、海上で姿を変えながらゴミや汚染物を取り除くようデザインされている。今や生存の瀬戸際にまで追いつめられた地球を癒す方法を探し求めてきたシーザーが目指しているものはただ一つ、人と技術と斬新なアイディアを組み合わせることで、私たち皆の未来を築くことである。


Tominaga Shouichi

富永 彰一

Video Game Designer
ピクセルで描かれた敵と暗い部屋に集まって戦うゲーマーたち… そのようなビデオゲームのステレオタイプから、ゲームデザイナと開発者たちはとっくに飛び出している。いまやゲームは、オンラインマルチプレイと美麗なグラフィクス、ソーシャル機能に加えて教育アプリケーションにまでその魔法を広げている。PixelJunk開発マネージャの富永彰一と彼のチームが成し遂げたことはそれだけにとどまらない。彼らは最新作 “The Tomorrow Children” で、マルキシズムのパロディという、おそらく誰も経験したことがない世界で人々を楽しませることを試みた。ネットワーク上のプレイヤーは社会の中で独立した一個人として活動する。このQ-Gamesの最新作はエンタテイメントという枠を超えて「もうひとつの現実」を私たちにつきつける。


Takaharu Tezuka

手塚貴晴

Architect
壁が壁ではない時?窓が窓以上となり得る時?この二つの質問への答えが、壁と窓が溶け込んだ、エレガントかつ、完成されたフォルムでそびえ立つ建築構造である。

手塚建築事務所の代表でもあり教授もある手塚は、妻の手塚由比と二人三脚で、非常に個性的で無限の可能性を秘めたエレメントを融合した建造物を思い描き、そして創りあげてきた。

手塚は彼のチームと共に、木々を取り囲む校舎、絡み合う木々の梁が支える遊び場や、心地よい光りと空間が患者に癒しを提供する病院など数多くの建造物を建築してきた。この息を飲むような光と空間と同様に、木材、金属そしてガラスの線が一体となってきれいに並ぶ建造物、これこそが手塚の作品の最大の特徴である。1994年に手塚建築研究所を創設して以来、手塚と彼のチームは単なる壁や窓を、生活のための空間から住み心地の良さを伴った芸術へと昇華させた建造物を建築している。


Kumi Adachi

安達久美

Guitarist/Composer
彼女の世界に心惹かれると、一瞬でとりこになる。わたしたちはひとつ
ひとつの旋律の下降上昇とともに、満面に映し出される彼女の情感に魅せられる。彼女のぴんと張った指が強く引かれた弦をはじき、うっとりする旋律を奏で、聴衆は時代を超えた永遠の愛に包まれる。著名なギタリストで作曲家である安達久美が奏でる音楽に、聴衆は彼女の熱い心や喜びをともに感じることができる。

Kumiは日本はもとより4度に渡る韓国ツアーに加え、2012年にはエジプト「カイロジャズフェスティバル」、そして2014年3月にはフランスの”パリ日本文化会館”にて行われた「JAZZ IN JAPAN 2014~日本ジャズと僧侶との出会い~」に招聘された。また同時期、パリの老舗ジャズクラブ“New Morning”にて行われた「東日本大震災復興支援チャリティーライブ」にも出演し、連日大喝采を博した。現在は「安達久美club PANGAEA」や「J&K」など複数のユニットで演奏し、アルバムをリリースすると同時に、国際的なステージで活動を展開中。自らのアートを極め、感動的な音の世界を創造し、そして彼女のアートに対する情熱を人々と共有する。


Pocket